Shimanto+Terrace はれのば
new Shop
location shimanto, kochi, japan
total floor erea 252.89m2
structure wood
このプロジェクトは、商店街一角の旧銀行跡地が民間地権者から街の活性化に役立ててほしいと土地と建物(後に解体)が市へ寄贈された事が契機となり始まった。その後、市が具体的な活用策の検討を始め、集客施設の主体事業者をプロポーザルにより公募した。そこに地元有志5人が立ち上がり、まちづくり会社を設立し公募に応募、採択された。初期投資は補助金を活用するものの役員の給与、配当はなく、必要経費を除く利益は全てイベントや街に還元するという思いを掲げ、街の為にと手を挙げたのである。
敷地は高知県四万十市中心商店街の一角。施主の要望は端的に、地域の賑わい創出と周辺店舗への波及効果であった。要件をさらに読み解くと、それは決して施設単体に向けたものでなく、その先の街に向けられたものだと理解でき、いわえる従来の収益施設からは一線を画していた。
近隣住民を対象としたアンケートを実施し施設のプログラムが決められ、アーケード側にカフェと公衆トイレ、敷地奥の広場を取り囲むようにテナントを配置している。打合せの中で、県産木材の活用、アーケード内に雨が吹き込まない形態と言った絶対条件、さらに屋上テラスと言ったワードが出てきた。検討を進める中で、建ペイ率40%、屋上テラスやアプローチ等の外部空間の割合も40%となり、空きスペースが際立っている事、アーケード側の間口も周辺店舗と比べ大きい事が気になった。そんな地平の空きと立体的なヴォリュームの空きを、商店街のスケールや秩序を保ちつつ街に繋げ開いていく状態の建ち方がこの施設に相応しいと考えた。
施設を形作る要素は、屋根と木フレーム、ボックス空間、ガラスである。具体的には、柱梁によるフレームの連続配置により間口のボリュームを柔らかく分節させながら人々の拠り所となる居場所を生み出し、アーケードから連続する片流れ屋根を広場に向けて掛け下ろす事で、奥広場へのアクティビティーの誘発と降雨対策も同時に成立させた。独立性を高めたボックス空間は階を跨いだ立体的な分散配置とし、屋上テラスを含む施設の空きをそのまま街へと開放させる事で、視線と動線がアーケードと広場相互を横断し街へと抜けて行く。