おいしいお菓子 tutu

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location   kuroshio, kochi, japan
total floor erea   58.37m2
structure   wood

サーフィンの聖地とも称される黒潮町の長さ4kmにも及ぶビーチを臨む丘の上に、営業25年を迎える街に唯一のホテルがある。ある日、代替りしたばかりのオーナーから、ホテル内にオーナーの妻が営むお菓子屋さんの改修をしたいと相談を受けた。ホテル内に小さな店舗を構え2年。口コミで評判を呼び手狭になってきた事を契機とした全面的な改修依頼だった。しかし、オーナー夫妻と話を進めていく中で出てくるのは、最低限のお菓子屋さんの形態の話はそこそこに、地域で頑張るアーティストさんの展示ギャラリー、地域の物を販売する土産物売り場、地元野菜の直売コーナー等の話であった。街で唯一のホテルであるからこその使命感、街への想いといった部分を重く受け止め、ホテルとお菓子屋さん、双方向からの視点を合わせ持った店舗の在り方を模索した。

検討を重ねる中で、いわゆる内装設計的な表面的デザイン行為では各スペースに抱くオーナー夫妻の想いに太刀打ちできないと感じられた。そこで、既存天井を撤去する事で可能な限りの気積を確保し、角度変化を持たせた独立空間を立ち上がらせながら、店舗のアイコンとなるようなシンプルな切妻屋根を掛け、その中に各スペースを収めていく手法を取った。独立させた事で内部空間に反転された外部空間が生まれ、地域の人も自由に利用できるフリースペースや直売コーナーをそこに確保し、壁面角度と開口部を調整する事で各所空間への抜けとホテルとの繋がりを両立させた。「ホテルは人と地域を繋ぐ窓口となる」とある打ち合わせでの言葉である。決して楽ではない現況のホテル経営。しかしそこには、この地域で、この地域の人と共に存続する意味に改めて向かい合ったオーナー夫妻の想いが、厨房含め17坪のホテル内の小さなお菓子屋さんに現れている。