WANLIFE DOG VILLAGE
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location shimanto, kochi, japan
total floor erea 202.75m2
structure wood
高知県四万十市郊外に建つペットの複合施設である。
住宅は点在するものの、周辺には美しい田園風景が広がり、南に抜ける田園からは遠く山並みも臨むことができる。
ドッグラン、ドッグカフェ、ドッグプール、ペットホテル、トリミング室、ペットフード製造所、オーナー住居、オーナーのペット犬舎、多様なプログラムが求められた。ここで考えたのは施設とドッグランの繋がり、ドッグランと周辺環境との繋がり、大きくはこの地に施設が介入することで見えてくるこの地の増幅された風景、そして地域との繋がりの創出である。
まず、求められた多岐にわたる各機能を独立、バラバラにし、この地のスケール感や動物の持つスケール感に近づけていくことを軸に検討を重ねた。2階に住居スペースをまとめ、1階は施設の公的機能を分散させ南に開けた遠景の山並みを取り込むように配置し、ドッグウォークで繋げている。
オーナーが高知で魅了された遠浅の海や豊かな山並みの風景をドッグプールや地盤の起伏に再現しドッグランに散りばめ、ドッグフェンスは盛土敷地の法尻にそのまま設置することでその存在が消え、ドッグランの起伏と遠景の山並みが重なった。
建設残土で作った最も高い起伏はGL+2,600まで隆起させドッグウォークを掛け渡し2階住居に直接繋げ、2階からのペット動線を確保し、職住の関係を自由に行き来するオーナーの生活スタイルも同時に許容させた。各棟はボックス形態で独立性を高めながら壁面傾斜を与えることで、内部では外へと視線を誘い、外部ではドッグラン起伏による地盤の動きと呼応しあう環境要素として機能している。
ドッグカフェと住宅部分の開口部は3枚の大きな木製建具とすることで季節の良い時期には開け放つことでドッグランと一体的に利用される。また、ペットホテルが併設されることで、宿泊と時間指定も受け入れ、ペット同伴者の自由度が大幅に向上できるようになりその先の四万十観光へも繋がる存在となっている。ドッグカフェはペット同伴でなくとも、モーニングやランチ利用が可能であるため、地域住民の新しいコミュニティの場としても機能し、地域に開かれている。
施設の建ち方、ドッグランを含むランドスケープの一体的なデザイン行為によって、この施設の多岐にわたる要素がこの地へ根付いていく様が見えてきた。人や動物との暮らしの考察を重ねる中で、地域環境や風景との関わり、この地の持つ可能性を改めて再認識できたような、そんなプロジェクトであった。